2012年9月29日土曜日

コンセプトって

つい慣れた表現を使いましたが、辞書に出てくる「基本的な概念」の様な大げさなものではなく、(装置の)構想という意味で使いました。CDを例えに説明すると、
フィリップスが提示したコンセプト(基本構想)は14bit115φでした。音質的に16bit、第九を1枚でのために120φにしたのがソニーです。デジタルオーディオの黎明期ですからかなり欲張った仕様でした。こういうコンセプト(本来の意味の)で走り始めたCDです。CDを作るためには、原盤を作って、透明のプラスチックに転写成形して、反射膜を付けて、反射膜の保護膜を付けて、レーベルを印刷して、梱包という手順が必要でした。原盤を作ってプラスチックに転写して梱包、がそれまでのLPレコードの製造手順でした。反射膜と保護膜は新たに必要になった工程です。すでにあったLD(レーザーディスク:当時は別の名前)の小径化だから簡単だろうと思われました。ところがLDに使っていたアクリルは、吸湿して反りが出るのを防ぐために貼り合わせが必要でした。せっかく片面で第九が入るようにしても2枚を貼り合わせては不要なコストが発生します。ここで単板という新たな(商品)コンセプトが生まれました。その後の顛末は省略して装置の構想のほうのコンセプトに話を戻します。アルミの薄膜を付けるには当時は蒸着が優位でした。真空中でアルミを加熱して溶かすとアルミ原子が飛び出してディスクに当たって固着します。加熱蒸着のために容器を真空にするのに時間が必要で、出来るだけ大きな真空容器で大量に作るのがコストダウンの方法でした。日本中が大きな真空蒸着機を志向しました。このころアメリカとドイツでほぼ同時期に光ディスク用のスパッタマシンが実用化されました。この装置の優れたところは1枚ずつ真空層に出し入れできたことです。ディスクが1枚だけ入る小さな部屋を持ち、大気と真空層の両側に出入り口をもち交互に開け閉めすることで、真空を保ったままでディスクを出し入れできました。大量一括処理の方式をバッチ処理と言い、後者をインライン処理と言いました。最大生産能力÷設備価格ではバッチ処理が勝ります。必要なものを必要なときに必要なだけ作る点ではインライン処理が勝り、数年でバッチ処理を駆逐しました。バッチ処理用の製造設備は10年経たずに償却され、世界中がスパッタを使ったインライン装置になりました。その後DVDとなりBDとなってもインライン処理の優位性は変わらずでした。でも商品コンセプトとしてはネットに道を譲る時期が来たようです。
話を戻して、現原発のコンセプトが間違えているのはすでに実証済みですから、新原発に進路を変えて、が安全への進路でしょう。

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